星雲の漢方勉強日記

漢方・薬膳関係の勉強・考察日記

相乗について

相剋の病的状態である。
過度な抑制が働いてしまう結果
孫にあたる五行が弱ってしまうことを指す。


相剋はあくまでも適切な抑制であり、
五行を維持するために正常な働き。


相剋の中にも相生
・土は木の根が張ることで流出を防ぐことができる。
・水は土に流れを抑えられることで、谷や川の形が保つことができる。
・金は火に溶かされることで、刀や鋸などの金属製品となる。
・木は刃物によって切られることで、様々な木工製品に加工される。
・火は水によって消されることで、一切を燃やし尽くさずにすむ。


相生の中の相剋
・木が燃え続ければ、火はやがて衰える。
・水が流れ続ければ木は腐ってしまう。
・金に水が凝結しすぎると金が錆びる。
・土から鉱石を採りすぎると土がその分減る。
・物が燃えた時に出る灰が溜まりすぎると、土の処理能力が追い付かなくなる。

 

解表法 汗法

・一種の外邪を疏散するもの表証を解除する方法
(主に活用するのは外感の初期)

疏散=ばらばらにする、分散する、嫌って離れるなどの意味がある。


病邪が皮膚の表を侵犯することによって現出する一連の病床
例えば、
・悪寒発熱
・頭項強痛(頭痛や項後のこわばり)
・肢体疼痛
(無汗、或いは有汗などの証候)

表症には主に
・表寒
・表熱
の両型がある。
故に解表法には
・辛温解表
・辛涼解表
の両型に分けられる。


・辛温解表法
外感風寒表証に活用される
常用される生薬としては、
・麻黄
・羌活(きょうかつ)
・桂枝
・防風
・紫蘇
が方剤の組成の主と成す。
・辛温発汗
・疏散表邪
の作用があり代表方剤は麻黄湯


・辛涼解表法
外感風熱や温病の初期に活用
常用される生薬としては、
・銀花
・連翹
・桑葉
・薄荷
・牛蒡
が方剤の組成の主と成す。
・辛涼透達
・疏散表邪
の作用があり代表方剤は銀翹散

相侮(そうぶ)について

逆相剋
・相剋の反対で反剋する関係
相剋の抑制のベクトルが、
「逆方向に抑制をかけてしまう病的な状態。」


・木侮金
木が強すぎると、金の克制を受け付けず逆に木が金を侮る


・金侮火
金が強すぎると、木の克制を受け付けず逆に金が火を侮る


・水侮土
水が強すぎると、土の克制を受け付けず逆に水が土を侮る


・土侮木
土が強すぎると、木の克制を受け付けず逆に土が木を侮る

 

虚の場合

・火虚金侮
火自身が弱いため、金を克制することができず逆に金が火を侮る


・水虚火侮
水自身が弱いため、火を克制することができず逆に火が水を侮る


・土虚水侮
土自身が弱いため、水を克制することができず逆に水が土を侮る


・木虚土侮
木自身が弱いため、土を克制することができず逆に土が木を侮る


・金虚木侮
金自身が弱いため、木を克制することができず逆に木が金を侮る

相剋(そうこく)について

・相手を打ち滅ぼしていく、陰の関係。
・特定の五行の間に存在する抑制の働き。

相剋の関係は、
・抑制する側が祖
・抑制される側が孫
と呼ばれる。
両者の関係は祖孫関係とも表現される。


・木剋土(もっこくど)(肝剋脾)
木は根を地中に張っていて土を締め付け、養分を吸い取って土を痩せさせる。


・土剋水(どこくすい)(脾剋腎)
土は水を濁す。また、土は水を吸い取り、常にあふれようとする水を堤防や土塁等でせき止める。


・水剋火(すいこくか)(腎剋心)
水は火を消し止める。


・金剋木(ごんこくもく)(肺剋肝)
金属製の斧や鋸は気を傷つけ切り倒す。

相生について

・順送りに相手を生み出していく、陽の関係。
・特定の(五)行の間に存在する促進する働き。
相生の関係において
・助ける側が母
・助けられる方は子

両者の関係は
・母子関係
とも表現される。


・木生火(もくしょうか)(肝生心)
木が燃えて火を生む。


・火生土(かしょうど)(心生脾)
物が燃えれば後には灰が残り灰は土に還る。


・土生金(どしょうごん)(脾生肺)
鉱物・金属の多くは土の中にあり、
土を掘ることによってその金属を掘ることができる。


・金生水(ごんしょうすい)(肺生腎)
金属の表面には凝結により水が生じる。


・水生木(すいしょうもく)
木は水によって養われ、水が無ければ木は枯れてしまう。

寄り道 喜怒哀楽その1

気の流れを乱し病気を引き起こす原因の一つに、
喜怒哀楽などの感情の変化がある。

・怒りは気を上げ(肝)
・喜びは気を緩め(心)
・恐れは気を下ろし(腎)
・悲しみは気を消す(肺)

大きな感情の変動は病気の引き金になるものとして警戒している。

・喜びは気を緩める
緊張を解いてリラックスさせるという意味もある。
ただし限度はあり、過度の喜びは心身を興奮させ不安定にさせる。
宝くじが当たって過度に喜び気絶するなどの例もある。

心は心臓のみでなく
精神・感情をコントロールする機能としてとらえている。
・喜びすぎたり
・はしゃぎすぎたりすると
※心身の興奮から心の気を消耗し気持ちが落ち着かず考えがまとまらない
また不眠、不安感などの精神症状が出やすい。

精神を安定させる生薬(安神薬)には
・遠志(おんじ)
・酸棗仁(さんそうにん)
・茯苓(ぶくりょう)
・柏子仁(はくしじん)
がある。

肝について

・五行の木
・上昇・発散させる働き
・五季は春
・五気は風
・胆、目、筋、爪は肝と影響しあう
・感情は怒
・精神状態を司る

肝の機能が亢進すると、
・興奮する
・のぼせる
・イライラ
したりする


風邪(ふうじゃ)について
個の邪気が体内に侵入し病気になると
・その症状はあちこちに現れる(場所が固定しない)
・変化も早い
という特徴がある


風は百病の長
欲ほかの邪気と一緒に体内に侵入する
いずれの季節とも結びつきやすい
さまざまな病気を引き起こす。

また風は陽邪の一つであり
・上に上昇する
・上半身を傷めやすい


春の風邪(かぜ)の症状として
・発熱、くしゃみ、鼻水、のどの痛み、目の充血、のぼせ、めまい
などで、上半身や首から上に症状が出るものが多くみられる。


肝の機能
・上昇・発散させる疏泄
・血液循環の調節
・気の巡りを良くする
・蔵血


疏泄の働きとは
・気の巡りをスムーズにして、
・精神・情緒の安定を維持する。

女性の場合は、
月経を正常に保つのに肝が非常に大きな働きをする。


蔵血とは、
・血を蓄える性質
・この働きにより目を養い
・感情の興奮状態を防いで安眠を促し
・関節の動きを円滑にする働き
がある。


肝の働きのバランスが取れないと
・怒りっぽくなったり
・不眠しがちになり
・めまい
・頭痛
・生理不順
が増えたりする。


肝の働きが現れる場所として
・目(目に開竅する)

肝の血が足りなくなると
・目のかすみ
・視力低下
・乾燥
・めまい
が起きやすい。

貧血気味の時
・目のかすみ
・視力の低下
を感じることが多いと思われる。

また目を潤す涙は力できる液体であるとされる。


肝に蓄えられた血は、
筋(すじ)を潤しながら働きを助ける
なので肝の血が足りなくなると
・関節の動きが悪かったり
・体の震えなどが起こる
(顔面神経麻痺や言語麻痺らに肝が影響することがある)


爪は筋の余りとされ、
肝が潤っていると爪もきれいに保たれる


肝の調子が悪くなると
・血の不足による疾患
・情緒の疾患
生殖器の疾患(女性)
・目の疾患
・筋の疾患
が起こりやすくなる。
その症状は、五気の風の特徴のように
・痛みが非固定で
・上に昇りやすい
特徴がある。

また血の不足は陰の不足を招く。
熱を鎮める働きが低下し、
・内熱が生じ
・のぼせ
・のどの渇き
・顔が赤くなる
などが起こる